2004年 02月 02日
シネテアトル、『マルシエル』 |
先日、『マルシエル』を見て行きました。今まで、会話を含んだパフォーマンスって見たことがなかったので、言葉がどうなるかなって思ってたのですが、舞台上部にデジタルの表示板が出て、字幕みたいに、会話の流れに沿って変わっていくのでした。ただ、舞台の半分くらいがスクリーンなんで、そっちと実物のマルシエルの舞台を見ながら、上部の字幕を見るのはちょっと大変。言葉がわかると楽なんだけれどね。
字幕を追うのが大変というのは、単に読むのが大変と言うだけじゃなく、思ったより、難しいストーリーなんで、その言葉を理解するのが大変というのもある。ストーリーは、田舎で農作業する青年、マルシエルが最近、不快な夢を見るようになる。目覚めても、幻想を見るようになり、友人に勧めらたパリの診療所に向かうのですが、そこの待合室で不思議なことが次々と起こる。そんなマルシエル、いろんな体験しながら、本来の自分を取り戻していく・・・・。
この舞台を見たいと思ったのは、クロード・ルルーシュの『幸福と偶然』という映画で、この舞台の一部が出ていて、面白そうな舞台だなぁって思ったからです。スクリーンの現れる映像と実物の俳優が見事に一致するというものがこの舞台の売りでもあるのですが、そのスクリーンの使い方が本当にいいです。スクリーンと舞台との移動での流れなんかスムーズなのは当然として、スクリーンの世界の表現が、現実の舞台で表現されないことを上手く使っていることです。
この舞台のラストは、なかなか良かったです。あのオチが気に入らない方もいるかもしれませんが、私は好きでした。このオチ、私は、こう解釈しているのですが、見た方はどうなのかな?この診療所は彼のためにみんなが演じていて、マルシエル自身は舞台でこの『マルシエル』を演じている。そして、その舞台を演じている。(彼は他のキャストと会話しているだけで演じているというより、させられているという表現が正しいかな)話が進むに連れて、彼がその”幻想”を見るきっかけを見つけ出し、本来の自分の姿を取り戻すということと思うのです。キャストたちが、これは診療所ではなくて、舞台ですよというところで、診療所の入り口の上には、楽屋口って書いてあったり、当日の会場の映像(近鉄劇場の観客の入場シーンの映像)を流して、マルシエルにここは、舞台ですよとわからせるところなんて面白かったなぁ。カメラを持ってマルシエルが観客のところまで走ってきたりしてね。
by tandem-hachi
| 2004-02-02 11:43
| 映画